不動産売却と言っても、それぞれの事情は様々です。住まいの売却相談カウンターが行ってきた不動産仲介の事例の中から、いくつかをご紹介させていただきますので、不動産売却をご検討中の方の参考になればと思います。
息子も1人立ちし、広い1戸建てからマンションへの住み替えを検討していたAさん。
インターネットなどは苦手なので、駅前の某大手業者に査定をお願いしました。すると、自分がチラシなどを見て想像していた金額よりも、2割以上も低い価格で提案をされてしまいました。
担当者に話を聞いたところ、築年数が古く土地が少し大きいために、一般的な物件よりも坪単価が低くなってしまうとのこと。
少し残念に思いながらも、売却をお願いしようと思ったところ、念のために息子に話をしてみました。
すると、息子夫婦が不動産購入をする際にお世話になった業者があり、その業者を紹介してもらうことに。
そして、実際に査定をしてもらうと、自分が考えていた価格に近い査定結果が出てきました。
どうやら業者によっては低い査定価格を出し、その金額で話がまとまった場合、業者に販売をすることがあるとのこと。
今回の少し広めの土地は2分割にすれば、建て売りを2棟建てることができるので、業者にとっては願ってもない条件だったのです。
大手の名前だけで信用してしまうのではなく、数社に査定をお願いすることにより、相場より安く売却してしまうことを防ぐことができたのです。
生まれたころから育った家を売却することになったBさん。何十年も住んできたのだから、誰よりも物件の事は分かっているつもりでした。
しかし、住み替え先の物件を購入した際に受けた「不動産調査報告書」が気になり、売却前に物件調査を行ってから売却をすることにしました。
すると、隣地との間に建っているブロック塀が、境界線とずれて設置されていることが発覚。実は境界線上に設置されていると思っていた物が、こちら側の土地にずれ込んでいたのでした。
早速お隣の方と話し合い、測量士立ち会いのもと是正の合意書を交わしました。
もし事前に調査を行わず契約してしまい、引き渡し前に発覚していたら、無用な値引きや、場合によっては解約になっていたかもしれません。
事前に調査することにより、物件の弱点を克服することができたのです。
海外転勤が決まり、いつ日本に戻れるか分からないため、自宅の売却を決めたCさん。
築年数は10年ほど経っていましたが、非常に綺麗に使っていたために、ほとんどリフォームの必要が無いほどの家でした。
ほどなく購入希望者が見つかったのですが、契約前に住宅診断と耐震診断を行いたいという依頼がきたのです。
正直あまり良い気分はしなかったのですが、悩んだ末にOKを出したところ、表に出てきていない雨漏りや漏水が発覚。
価格交渉で値下げするより、修繕費用を負担することで納得し、互いに気持ちよく契約に進むことができました。
自宅マンションを売り始めて3カ月がたったDさん。
お願いしている業者からは、引き合いも多いと報告を受け、実際に内見希望者もたくさんいました。
しかし、実際に家を見てもらうと、毎回お断りされる状況でした。
そこでDさんは思い切って、販売をお願いする業者を変えてみることにしました。
すると、新しくお願いしようと考えている業者に部屋を見ていただくと、様々なアドバイスが出てきたのです。
部屋の掃除状況はもちろん、家具の配置や、ペットの匂い、一番日の当たる時間を考慮して、見学をしてもらうことなど、今まではまったく気にしていなかった点まで指摘されました。
実際、それまでお願いしていた業者からは、そのようなアドバイスはまったくありませんでした。
しかし、このアドバイスを忠実に守り、お客様を迎えたところ、驚くことに1件目のお客様で契約になったのです。
御自身では長年住んでいるので、意外に気にしていないことが沢山ありますが、お客様は第1印象が最も大事になります。
プロのアドバイスが無ければ、無用な値下げをするところだったと、胸をなでおろすDさんだったのです。
祖父の代から受け継いだ土地と建物に住むEさん。
随分と建物が老朽化してきていたため、震災を期に建物の建て替えを考えました。しかし、セカンドライフ資金の事も考えるとあまり余裕はありませんでした。
そこで、地元の不動産業者に相談したところ、土地を半分売却し、その資金で建て替えをという提案をされました。
幸いにも土地は100坪もあり、半分を売却しても十分に建て替えが可能です。
早速その提案をしてくれた業者に販売を依頼し、自身は建物の打ち合わせを進めていきました。
しかし、半年を過ぎても一向に売却先が決まらなかったのです。
どうやら、50坪で販売を行うと土地が大きすぎる為に、なかなか条件に合う人が少ないとのこと。
売却する土地を減らしてしまうと、建て替え費用が足りなくなってしまうし、困ってしまったEさん。
そこで、建物を依頼していたハウスメーカーから不動産業者を紹介してもらいました。
すると、その業者は隣地の方に交渉を行い、20坪を買い取ってもらったのです。
実は隣地の方は戸の土地が販売されていることを今まで知らず、さらに自身の駐車場が欲しいと前々から考えていたのです。
後はスムーズに残りの土地も売却することができ、安心して建て替えに移ることができたのです。